現在、地上2階にある東横線ホームが副都心線と乗り入れすることにより地下5階に移動すると、各線への乗り換えが一気に不便になるいよいよ3月16日から始まる、東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転。その切り替えに伴うパニックが予想されるのが、全体で毎日およそ200万人もの利用客が乗り降りする渋谷駅だ。その問題点について、鉄道アナリストの川島令三氏は「停車駅が複雑になり、混乱する」と指摘する。「今回の乗り入れで、特急や急行といった、列車の『種別』というものが複雑になります。これまで東横線の利用者は、特急、通勤特急、急行の停車駅を覚えておけば、目的の駅まで間違えることなく電車に乗れました。ですが、副都心線には急行と通勤急行という電車があり、西武からは快速急行、快速、準急が乗り入れる。これらの停車駅もある程度把握しておかないと目的地までスムーズに行けない。なぜなら『東横線は急行で副都心線は各駅停車、西武線は準急』という電車や『東横線は特急で副都心線は急行、西武線は快速急行』と、種別がコロコロ変わる直通電車が走るからです」列車の種別が変わり、停車駅が複雑になると、乗り換えなしで行けるのにもかかわらず「わからないからいったん渋谷で降りてしまおう」という乗客もいるかもしれない。しかも、混乱のリスクはそれだけに留まらない。「今回の直通運転で、東横線は西武線や東武線で事故が起きたときにもダイヤが乱れるリスクを抱えることとなった。電車が運休になれば、やはり地下5階の渋谷駅に人がたまる。また、この直通をキッカケに、東横線の一部の電車が8両編成から10両編成に増えるのも問題。運べる乗客数が増え、それに伴い東横線の乗客が増えれば、やはり渋谷駅に人があふれるでしょう」(川島氏)さらに、鉄道ジャーナリストの梅原淳氏は、ホームの数を不安視する。「現在、東横線は4つの乗車専用ホームと、降車専用ホーム3つの計7つのホームを使って、乗客をさばいています。ですが、3月16日からは同数の乗客を4つのホームで乗り降りさせなくてはならない。しかも、そのホームを副都心線の乗客、一日16万5000人がすでに利用しています。朝のラッシュ時は地下5階のホームも大変なことになりそうですね」ただでさえ莫大な数の乗客が利用する渋谷駅だけに、切り替え当日は細心の注意が望まれる。
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