ベルリン在住の95歳の女性が、第二次大戦中にナチス・ドイツの独裁者ヒトラーの「毒味役」をしていた過去を打ち明け、話題になっている。戦後は「ナチスに協力した」との非難を恐れ、沈黙を通してきたが、このほど独メディアに当時の状況を証言した。この女性はマルゴット・ウェルクさん。ヒトラーが東部戦線の指揮をとった現ポーランド北部の司令部で、1943~44年の2年間、毒味役を務めた。当時、この司令部の近くに住んでいたため、声がかかったという。夫は兵士として戦場におり、ウェルクさんの毒味の行為を知らなかった。他にも十数人の毒味役がいたという。ヒトラーは菜食主義者で、アスパラガスやニンジンの料理が多く、肉はなかったという。「ヒトラーは英国による毒殺計画を恐れ、サラダの葉一枚にすら警戒していた。料理はどれもおいしかったが、私は同時に毒で死ぬ恐怖におびえていた」と振り返る。毒が「効く」時間も考慮し、いつも毒味から45分以上たってヒトラーは料理に手を付けたという。ナチス・ドイツの降伏後、ウェルクさんは自らの体験を語ることを避けてきたが、昨年末に地元紙記者から偶然、長寿を祝う趣旨の取材を受けたのを機に、過去を語る決心をしたという。
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